0150:6-5-1:許す・あきらめる・愛する=アタマで「幸せ」を創る①

6-5-1【許す・あきらめる・愛する=アタマで「幸せ」を創る】①


一番むずかしく、いちばん大切なことは「許すこと」

では、この章の最後に、人生を辛いものではなく、愛にあふれた幸せなものにするために一番必要なもの

「愛」と「許し」

について書いていきます。これらはこの本で最も重要な、人生が辛いときには特に知っておかなければならないことです。


許さない、許せない、だから辛い

人生が辛いのはなぜか?

 それはズバリ、いろいろなことが

許せないから

という一言に集約できます。

 これは、他人の言動だけでなく、自分自身の習慣や容姿、そして社会の風習や自然の法則など、あらゆるものに対する気持ちを指します。そういったあらゆるものに対して「許せない」気持ちが多ければ多いほど、人生を辛く感じてしまうのが僕たちのココロです。

 まずもって「許せない」という考えが「好き嫌いゲージ」の上昇を妨げますので、その考えがアタマにある間はずっと、ゲージの針は「嫌い」寄りに傾いています。これだけでも、人生はかなり辛いはずです。

 そして、「許せない」という考えはなかなか消えないので、そのまま「好き嫌いゲージ」が低い状態を維持してしまいます。そんなわけで、僕たちのココロはなかなか「愛の状態」になることができず、モトあつめがうまくいかないということになります。

 逆に考えると、このたくさんの「許せない」気持ちを、いくらかでも「許せる」に変えられると、人生の辛さはずっと、ずっと改善するはずです。好き嫌いゲージが上がりやすくなるからです。


「許す」ときの「メカニズム」

ではこの「許せない」のメカニズムを、モトの観点から見てみましょう。もしかしたら、結構意外なものかもしれませんよ。

 何かものごとに対して「許せない」「許さない」と決めているのは・・・実はココロではなく

アタマの働き

なんです。

 もう少し詳しく書くと、まず何かに対して注意を向けると、それがどういうものかをアタマが判断するんでしたね(第三章参照)。そしてアタマの判断をもとに、ココロが好き嫌いゲージを動かして、そして「気持ち」が発生します。感情ですね。

 実は、僕たちが何かを「許すかどうか」決めているのは、この後なんです。ABC理論を使って図にするとこうなります。

・A「出来事」(カラダが見聞きしたもの)
・B「信念」(アタマが判断したこと)
・C「結果」(ココロに湧き起こった気持ち)
  ↓
【それを許すかどうか、アタマで判断】

 何かを許すのが難しいのは、感情が湧き起こった『後』に、それをどうするか「アタマで考えて判断」しなければならないからです。


アタマで考えないから、気分で行動してしまう

特に難しいのは、ココロに「ネガティブな感情」が湧き起こっているときです。悲しみや怒り、恐怖や心配がココロにあるときに、それらを「許そう」とアタマで決めなければならない、ということです。

 これがどれほど難しいことか、僕に言われなくても十分お分かりでしょう……特に「人生が辛い」という思いがあるときには、ココロはネガティブな気持ちで満たされているし、アタマは「許せないこと」でいっぱいになっているはずですから。
 そんなときはたいてい「気分」「感情」が表に出てきて、アタマが働く余地をなかなか与えてくれません。ですが、これを乗り越えて「アタマで」状況を判断しないと、いつまでも「許す」ところまでたどり着くことができないわけです。

 人生が辛い理由が「許せないことの多さ」なのだとしたら、この「許せない気持ち」を手放すことこそが、人生の辛さを「直接治療する唯一の方法」だと言えそうです。
 この「許せなさ」を手放すには、どうすればいいんでしょうか。


「アタマ」をフル回転させて「今」をとらえ直す

ここで思い出してほしいのは、第三章で書いた「恐怖を克服する方法」についてです。ちょっと復習しますね。

 恐怖というのは、先ほどのABC理論のメカニズムで起こる感情です。感情というのは自動的に起こりますので、それ自体は自然なことです。

 問題はその先です。起こった感情に、どう対応するか。
 大事なのは、ABC理論の「B(信念)」を持っているから、感情が「恐怖」になったことに自分で気づいて、この「B」を自分で変えるように「アタマを上手に使うこと」でしたね。
 こうすることで、とある出来事に対して「恐怖」が発生している理由に気づいて、自分のアタマである程度コントロールすることができるようになるんでした。

 こういう風に、「今起こっていることがどういうことなのか」をアタマで明確にして、それを新たにとらえ直すことを僕は

「あきらめる」

と呼んでいます。

(続く)

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