0124:3-3:不安感と恐怖が起こる『メカニズム』

3-3【不安感と恐怖が起こる『メカニズム』】


「安心感」と「不安感」

第二章で「好き嫌いゲージ」について書いたとき、好き嫌いゲージが下がってくると『不安感』を抱くようになる、と書いたことを覚えていますか?

 好き嫌いゲージが上がると「幸せな感じ」を抱くようになります。これは言い換えれば「安心感」です。
 逆に、好き嫌いゲージが下がってくると、その反対の感情である「不安感」が増していきます。

 人間には様々な感情、例えば怒り・悲しみ・恐怖・驚き・喜び・楽しみなどがありますがそれらのすべての根本にはこの

「安心感」
「不安感」


のどちらかが存在します。

 ちなみに、全く興味がないもの・なんの感情も湧かない対象には、どちらの感情も生まれませんので、好き嫌いゲージはちょうど中間を指します。このときは、ココロのモト量は変化していません。注目して、何らかの興味や関心が(ポジティブなもの、ネガティブなもの、の両方です)あるときにだけ、ココロのモトが流出し、好き嫌いゲージが動くのです。


モトが減ると「不安感」が増す

というわけで、前項では「安心感」の方、好き嫌いゲージが「好き」の方に動く例を見てきましたが、今度はその逆「不安感」の方、好き嫌いゲージが「嫌い」の方に動く例を見てみましょう。

 日常生活であなたが「嫌な思い」「不快な思い」「怖い思い」など、ネガティブな気持ちになったときは必ず、好き嫌いゲージが「嫌い」寄りに反応しています。モトが減っているんです。

 好き嫌いゲージは「モトの量」とその「増え方・減り方」を表すものです。ですから、ネガティブな事件に直面したときも、好き嫌いゲージはココロのモトが「どのくらい減ったか」「どういう減り方をしたか」を的確に表すようにできています。
 僕たちのココロは、こういったモトの「減った量」「減り方」を参考にして、様々な感情をフィードバックしてきます。

 では、そういうネガティブな感情のときのモトの動きを、分かりやすい例をもとに説明していきましょう。


恐怖はモトの「減少」と「枯渇」によって起こる

とても分かりやすい「ネガティブな感情」のひとつに「恐怖心」があります。怖い思いです。
 恐怖心は誰にでもあります。犬や猫などの動物にも、そしてなんと植物にもあります。恐怖心というのは、よくわからない「モトを減らしてくるもの」に対して、身を守ろうとするための原始的な感情なのです。

 モトの観点からこの恐怖心を見てみると、これはココロのモトの量がガクッと減っている時の感情と言えます。さらに、ただ単に減っているのではなく、モトが奪われるか失うか、元々持っていないかでココロにほとんど残ってないような、スッカラカンの状態になってしまったときの感情です。

 恐怖を覚えるほどのモトの減少は、生命活動に直結するほどの量の変化なのです。だから、怖いときは身を屈めて、目や耳をおおって情報をシャットアウトし、とにかくこれ以上モトを失わないように行動します。怖いときに涙が出てくるのも、目からの情報量を減らして、これ以上ココロが傷まないようにするためです(もちろん、目そのものを物理的に守ろうとする働きもあります)。

 とはいえ、恐怖心にも度合いというものがありますよね・・・殺されそうになるような恐怖から、日常のちょっとした怖さまで。たとえば・・・みんながあまり好きではないような虫が、いきなり家のキッチンに出現したときなんかの気持ちも、人によっては恐怖だったりするんじゃないかと思います。


アノ昆虫に「恐怖する」メカニズム

そうです! ズバリ「ゴキブリ」の話です。

 僕はゴキブリが苦手です。出てきたら「怖い!」と感じますし、出てきそうな家具の隙間なんかですら、なんだか怖い気がします。
 これは人によるんじゃないかと思っています。僕と同じように怖さを感じる人もいれば、なんとも感じない人まで様々ですよね。中には、気を失いそうになるほどの恐怖を感じてしまう方もいらっしゃったりして。

 どうして人間が、こんなちっぽけな虫なんかに恐怖してしまうのかは、昆虫の専門家に譲ろうと思います。その代わりここでは、その時どんな風に「モト」が動いているのかという話をしましょう。

 ゴキブリが怖い人が、家のなかでゴキブリを見かけたとしましょう。

 まず、カラダがその物体を認識します。目から入ってくる情報、音の情報、そういったものです。触感なんてのもありますけど・・・この話はあえてしないでおきます。イヤでしょ?(笑)
 ともかく、黒いカタマリが部屋をサササッと横切っているわけです。それを目で見て、音で聞きます。

 その後、その情報はアタマが処理します。かつて見たものや聞いた音と照らし合わせて、それが何という物体であるかを認識します。
 そこではじめて、その物体の正体が「ゴキブリである」と認識されるわけです。

 ここからが、好き嫌いゲージの出番です。

 その物体「ゴキブリ」が、自分にとってどういうものなのか。好きなのか、好きでないのか。それを好き嫌いゲージに照らし合わせます。
 大抵の人は「嫌い」側に針が動きます(よね?)。そして、針が動くので、モトがゴキブリに向かってどんどん飛んでいきます。

 ゴキブリがこちらに気づこうと気づくまいと、モトはゴキブリに向かって飛んでいってしまいます。飛んでいったモトは、ゴキブリが受けとることなんてまずないので(ゴキブリだってこちらを怖がっていますからね)、ただ単に消滅してしまいます
 こうして、ココロのモトはさらに減り、ゲージを振りきってしまいます。そうすると、ココロに恐怖心が沸き起こってきます。

 ほんの一瞬の出来事なのですが、僕たちの中ではこの

・カラダ
  ↓
・アタマ
  ↓
・ココロ

というプロセスがあって、そこで初めてココロに感情が湧き起こるのです。

 ここでは、カラダとアタマがゴキブリを認識したのち、ココロが自分にとって激しく「嫌い」なものだと判断して、好き嫌いゲージを動かして「恐怖」という感情を発生させていることになります。

 僕たちがゴキブリを怖がっている裏で、僕たちのカラダ・アタマ・ココロの三つのパーツが、こんな風に複雑な連動を行っているんです。
 僕たちは実は、こんなことを毎秒毎分、ほとんど無意識に行いながら生きています
 
(続く)

0 件のコメント :

コメントを投稿