思い出のヨゾゾさん
今日は、生き物のデザインの話をしましょうかね。わしね、昔、アイガモを飼ってたことがあるんですよ。
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名前はいろいろあったけど、最終的に「ヨゾゾ」に落ち着きました。
首が緑色なので、オスですね。メスは、全身が茶色っぽい、地味な色味をしています。翼に青いラインがあるのは一緒なんですけどね。
すでに故鳥なんですが、9年生きました。これが長生きなのかどうか、わしにはよく分からないままなんですけどね・・・。
わしはヨゾゾさんが大人になってから飼い始めたので、もしかしたら懐いてくれないかも、と思ってたんですけど、これがもうわしにべったり懐きましてね。嬉しい誤算でした。
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最初の頃は、わしも手探りで飼い方を勉強しながらだったので、わしが見ていないときや眠っているときは、オリの中に入ってもらっていたんですが、何年かして慣れてしまってからはもう、完全に部屋で放し飼いにしていました。
ヨゾゾデザイン
ヨゾゾさんは、とても美しい鳥でした。首から上は、鮮やかで光沢のあるグリーンで、くちばしはそれと対象的なイエロー。ヨゾゾさんのくちばしにはブチがありましたけど、くちばしのキレイな子は、ツルンとした鮮やかなイエローです。
そして体全体は、目立たない茶色の羽で覆われてるんですけど、翼には鮮やかなブルーのラインが入っています。これも首と同じく、金属のようなキラキラした光沢があるんです。めちゃくちゃキレイです。
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不思議なのは、目と首。
アイガモのまぶたは下から上に向かって閉じます。人間と逆ですね。でも不思議なんですけど、まぶただけ、真っ白なんですよ。首が濃いグリーンだから、目を閉じると、そこだけ白くなるんですよ。本当に不思議。
そんでもって、首に線があるんです。なんでそんなもんがあるのか、全然わかりませんが、わしは「切り取り線」と呼んでいました。食べるときは、ここから切ってね! という意味合いです。そんなわけないですけどね(笑)。
ヨゾゾをデザインしたのは誰か
ヨゾゾさん、人を見分けたり、わしの言うことが少し分かったり(お風呂とかご飯とか)と、賢い鳥でしたが、根本は動物なので、やっぱり人間よりはアタマが小さいんですね。体重との比率でも、大脳のサイズはやっぱり人間には及びません。いつでも何かグワグワ言ってるし、そこらじゅうでフンをするし、見知らぬ人には積極的に戦いを挑むし、やっぱりアホです(笑)。
だから、さっき挙げたヨゾゾのデザイン的な特徴も、ヨゾゾが(ていうかアイガモが)考えてるって、どうしても思えないんですよ。
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進化論とか、生物学とか、そういうのではきっと、長い進化の歴史の中で、たまたまそういう特徴、例えばまぶたの色が違うとか、翼にラインがあるとか、そういう個体が生き残って、子孫を残して、特徴が強まって、という話になるんでしょうけど。
アホなヨゾゾが、あんな美しいデザインなのを見てると、どうもなんというか、その説に違和感を感じざるを得ないんです。それが科学的姿勢ではないと、思いはするんですけどね。
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だからね、わしは思うんです。生き物には、デザイナーがいるって。
生き物が生まれて、生きて、死んで。そして天国に帰った後、その生き方がどうだったか、では、次はこういう生き物に進化したらどうだろう? みたいな話し合いが、きっと他の魂たちとなされてるんじゃないかって、思わずにいられないんですよ。
高いところの草が食べられたら、死ななかった、ひもじい思いをしなくて済んだかも・・・じゃ次はもっと首の長い生き物に進化しよう・・・キリン誕生。
もっと早く走れたら、インパラに追いついたのに、ひもじい思いをしなくて済んだかも・・・じゃ次はもっと早く走れるように進化しよう・・・チーター誕生。
もっと自分だけ目立てたら、メスや子供のおとりになれたのに・・・じゃ次はもっとハデな見た目になろう・・・カモ誕生。
こんな風に、向こう側で、どういう進化をして、どういう見た目の生き物になるかを、話し合って決めてるんじゃないかって、どうしても思っちゃうんですよね。んで、デザインを決めた後、そのためにどういう進化が物理的に行われるかを計算してモトを配置して、遺伝子の組み合わせも計算して、そのカップルから突然変異が生まれて、進化して、という感じなんでしょうかね。
いやはや、想像の域を出ない話ではあるんですけどね。生き物の進化が偶然と適応によるもの、と言い切ってしまうには、ヨゾゾさんはあまりに不思議な生き物だったんです。肩に乗りたがるし(笑)。
ではまた次回お会いしましょう。わしの話、信じないでね(笑)。
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